経理業務の自動化、もう他人事じゃない! 具体的な業務から導入方法、成功のポイントまで解説!

経理の自動化

「経理業務の自動化って、大企業の話でしょ?」「AIなんて難しそうだし、うちには関係ないよね…」そう思っていませんか?

実は、自動化はあらゆる規模の企業にとって、今まさに取り組むべき課題なのです。本記事では、自動化が必要とされる具体的な業務から、今日から始められる導入方法、そして成功のポイントまで、わかりやすく解説します。経理業務の効率化に悩むすべての方へ必読の内容です。

このページの監修者
松下 省治
株式会社アイエーピー 代表取締役
専門は、国際税務、国際会計、国際組織再編。経歴はサン・マイクロシステムズ(株)およびSunMicrosystem Inc. 日本及び米国で勤務を行い、国際税務及び米国基準での会計に携わる。デル(株)経理財務部長として日本4社の経理部門の統括を行う。シトリックス・システムズ・ジャパン(株)日本および韓国法人の管理部門統括本部長。

経理業務の自動化とは

経理業務の自動化とは、従来人間が行っていた経理関連の作業をITやAIを駆使して効率化することです。自動化により、人的ミスの削減、業務効率の向上、コスト削減が可能となります。

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、多くの企業が経理業務の自動化に注目しています。

では、具体的にどのような業務が自動化の対象となるのでしょうか?また、自動化によってどのようなメリットが得られるのでしょうか?

以下では、経理業務の自動化について詳しく見ていきます。まずは、自動化のニーズが高い業務から確認していきましょう。

総務省が調べた「自動化して欲しいと思う業務」

総務省が実施した調査によると、企業が自動化を希望する業務のトップに経理・財務関連の業務が挙げられています。具体的には以下のような結果が出ています:

1. 経費精算処理:78.5%

2. 仕訳入力:72.3%

3. 売掛金管理:65.8%

4. 買掛金管理:63.2%

5. 請求書発行:61.7%

これらの数字から、多くの企業が経理業務の自動化に高い関心を持っていることがわかります。では、一般的な経理業務にはどのようなものがあるのでしょうか?

主な経理業務

経理部門が担当する主な業務には、以下のようなものがあります:

1. 仕訳入力

2. 請求書の発行・管理

3. 売掛金・買掛金の管理

4. 給与計算

5. 経費精算

6. 財務諸表の作成

7. 税務申告

8. 予算管理

9. 資金繰り管理

10. 監査対応

これらの業務の中には、定型的で自動化に適したものと、専門的な判断が必要で自動化が難しいものがあります。次に、自動化に適している業務と適さない業務について見ていきましょう。

自動化に適している業務

経理業務の中で、特に自動化に適しているのは以下のような業務です:

1. 仕訳入力:AI OCRを使用して、請求書や領収書からデータを自動抽出し、会計システムに入力できます。

2. 経費精算:従業員がスマートフォンで領収書を撮影するだけで、自動的にデータ化し精算書を作成できます。

3. 請求書発行:顧客情報と売上データを連携させ、自動的に請求書を作成・送付できます。

4. 売掛金・買掛金管理:入金や支払いの状況を自動で管理し、滞納リスクを早期に把握できます。

5. 給与計算:勤怠システムと連携し、自動的に給与計算を行うことができます。

これらの業務は、ルールベースで処理できる定型作業が多いため、自動化による効率化の効果が高いといえます。

自動化に適さない業務

一方で、以下のような業務は自動化が難しい、もしくは慎重に検討する必要があります:

1. 財務分析:企業の財務状況を分析し、経営戦略に反映させる業務は、高度な判断力が必要です。

2. 税務戦略立案:税法の解釈や企業の状況に応じた戦略立案は、専門知識と経験が不可欠です。

3. 監査対応:会計監査人とのコミュニケーションや、複雑な取引の説明には人間の介在が必要です。

4. 予算策定:経営方針や市場動向を踏まえた予算策定は、AIだけでは難しい判断が求められます。

5. M&A関連業務:企業買収や合併に関わる財務デューデリジェンスなどは、高度な専門性が必要です。

これらの業務は、人間の専門知識や判断力、コミュニケーション能力が重要となるため、完全な自動化は難しいといえます。

自動化により将来無くなる可能性がある業務

テクノロジーの進化により、将来的に無くなる可能性がある経理業務もあります:

1. 手動での仕訳入力:AI OCRとクラウド会計ソフトの進化により、ほぼ自動化される可能性があります。

2. 紙の請求書管理:電子インボイスの普及により、紙の請求書そのものが減少し、関連業務も縮小するでしょう。

3. 現金出納:キャッシュレス決済の普及により、現金管理業務は大幅に減少する可能性があります。

4. 手動での帳簿作成:クラウド会計ソフトの発展により、自動的に帳簿が作成されるようになるでしょう。

5. 単純な財務レポート作成:AIによるデータ分析と自動レポート作成機能の進化により、基本的なレポート作成は自動化される可能性があります。

これらの業務が無くなることで、経理担当者はより戦略的な業務に注力できるようになるでしょう。

経理業務を自動化するメリット

経理業務を自動化することで、企業には多くのメリットがあります。ここでは主な4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

人的ミスを減らせる

経理業務の自動化の最大のメリットの一つは、人的ミスの削減です。

1. データ入力ミスの減少:OCR技術やRPAの活用により、手入力によるミスを大幅に削減できます。

2. 計算ミスの防止:自動計算機能により、複雑な計算ミスを防ぐことができます。

3. 期日忘れの防止:自動リマインド機能により、支払いや請求の期日忘れを防ぐことができます。

例えば、ある企業では自動化導入後、入力ミスによる修正作業が90%減少したというデータもあります。人的ミスの削減は、業務効率の向上だけでなく、財務報告の信頼性向上にもつながります。

コア業務に注力できる

経理業務の自動化により、従業員は付加価値の高い業務に集中できるようになります。

1. 戦略的な財務分析:日々の入力作業から解放されることで、より深い財務分析に時間を割けるようになります。

2. 経営支援:経営陣への財務アドバイスなど、より高度な業務に注力できます。

3. スキルアップの機会:ルーティン作業の削減により、新しいスキルを習得する時間が生まれます。

ある調査によると、経理業務の自動化により、戦略的業務に充てる時間が平均40%増加したという結果も出ています。

素早く的確な経営判断に役立つ

自動化によるリアルタイムデータの活用は、経営判断のスピードと質を向上させます。

1. リアルタイムの財務状況把握:日次での財務状況の確認が可能になり、迅速な意思決定ができます。

2. 予測精度の向上:過去のデータを AIが分析することで、より正確な将来予測が可能になります。

3. 異常値の早期発見:自動チェック機能により、不正や誤りを早期に発見できます。

例えば、ある小売業では自動化システム導入後、在庫回転率が25%改善し、キャッシュフロー管理が大幅に向上したという事例があります。

コストを削減できる

経理業務の自動化は、長期的には大きなコスト削減効果をもたらします。

1. 人件費の削減:ルーティン作業の自動化により、必要な人員を最適化できます。

2. 残業代の削減:作業効率の向上により、残業時間を大幅に削減できます。

3. ペーパーレス化によるコスト削減:紙の使用量や保管スペースの削減につながります。

4. エラー修正コストの削減:人的ミスの減少により、修正にかかるコストが削減されます。

ある中規模企業では、経理業務の自動化により年間の経理関連コストが約30%削減されたという報告もあります。

これらのメリットを踏まえ、次は具体的な経理業務の自動化方法について見ていきましょう。

経理業務を自動化する方法

経理業務の自動化には、さまざまな方法があります。ここでは、代表的な5つの方法について詳しく解説します。

Excelのマクロ機能を活用する

Excelのマクロ機能は、比較的低コストで始められる自動化の第一歩です。

1. 定型フォーマットの自動作成:請求書や経費精算書などの定型フォーマットを自動で作成できます。

2. データの自動集計:複数のシートやファイルからデータを自動で集計し、レポートを作成できます。

3. 条件付き書式の活用:特定の条件に該当するデータを自動で強調表示し、異常値の発見を容易にします。

例えば、月次の売上集計レポートの作成に毎回3時間かかっていた作業が、マクロ利用により10分で完了するようになったという事例もあります。

ただし、Excelマクロには以下の限界もあることを認識しておく必要があります:

– 大量データの処理には不向き

– 複雑な処理には専門知識が必要

– ファイル共有やリアルタイム更新に制限がある

RPAを導入する

RPA(Robotic Process Automation)は、人間が行うPC操作を自動化するソフトウェアロボットです。

1. 複数システム間のデータ転記:会計システムと販売管理システム間のデータ転記を自動化できます。

2. 定期的なレポート作成:月次や週次の定型レポートを自動で作成・配信できます。

3. データチェックと異常値検出:大量のデータから異常値を自動で検出し、アラートを発信できます。

RPAの導入により、ある企業では経理部門の業務時間が平均40%削減されたという報告もあります。

RPAの導入を検討する際は、以下の点に注意が必要です:

– 導入前の業務プロセス見直しが重要

– 初期投資のコストが比較的高い

– 保守・メンテナンスの体制が必要

システム/ツールを導入する

クラウド会計ソフトやERP(Enterprise Resource Planning)システムの導入も、効果的な自動化方法です。

1. クラウド会計ソフト:取引データの自動取り込み、仕訳の自動生成、レポートの自動作成などが可能です。

2. ERPシステム:経理だけでなく、販売、在庫、人事など、企業の全体最適化を図れます。

3. 経費精算システム:領収書のスキャンから承認プロセスまで一貫して自動化できます。

例えば、クラウド会計ソフトの導入により、月次決算にかかる時間が5日から2日に短縮されたという事例があります。

システム導入時は以下の点に注意が必要です:

– 既存システムとの連携可能性の確認

– 社内の IT リテラシーレベルの考慮

– セキュリティ対策の徹底

生成AIを活用する

最新のトレンドとして、生成AIの活用も注目されています。

1. 自然言語での仕訳入力:自然言語で取引内容を入力すると、AIが適切な勘定科目を提案します。

2. 予測分析:過去のデータをもとに、将来の財務予測を自動で生成します。

3. 異常検知:通常とは異なるパターンの取引を自動で検出し、不正の早期発見に役立ちます。

ある企業では、生成AIの導入により、仕訳入力の時間が60%削減され、さらに入力ミスも80%減少したという報告があります。

生成AIの活用には以下の課題もあります:

– データの品質と量が精度に大きく影響する

– 導入初期は人間によるチェックが必要

– 法規制やコンプライアンスへの対応

アウトソーシングで自動化する

1. BPO(Business Process Outsourcing):専門業者に経理業務全般を委託することで、自社の経理部門を最小限に抑えられます。

2. クラウド会計と税理士サービスの組み合わせ:日々の経理処理はクラウド会計ソフトで行い、月次決算や税務申告は税理士に依頼する方法です。

3. シェアードサービス:グループ企業内で経理機能を集約し、効率化を図る方法です。

アウトソーシングのメリットには以下のようなものがあります:

– 専門知識を持つプロフェッショナルによる高品質なサービス

– 固定費の変動費化によるコスト削減

– 最新のテクノロジーやシステムの利用が可能

ある中小企業では、経理業務のアウトソーシングにより、年間の経理関連コストが25%削減され、さらに経営陣が財務戦略に集中できるようになったという事例があります。

ただし、以下の点には注意が必要です:

– 自社の財務情報を外部に委ねることへの抵抗感

– コミュニケーションコストの増加

– 突発的な対応が必要な場合の柔軟性

アウトソーシングを検討する際は、自社の状況や目的を明確にし、適切なパートナーを選ぶことが重要です。

経理を自動化できるRPAとは

RPAは経理業務の自動化において非常に有効です。

RPAはクラウドツールを使用する場合と、pythonなどのプログラミング言語で自動化の仕組みを構築します。

ここでは、RPAが特に効果を発揮する経理業務の例を詳しく見ていきましょう。

ルーティンで行う定型業務

RPAは、定期的に行われる定型業務の自動化に最適です。

1. 月次決算処理:勘定科目ごとの集計や、財務諸表の作成を自動化できます。

2. 給与計算:勤怠データの取り込みから、給与計算、振込データの作成まで一連の流れを自動化できます。

3. 固定資産の減価償却計算:毎月の減価償却費の計算と仕訳を自動で行います。

例えば、ある企業では月次決算処理にRPAを導入したことで、作業時間が従来の3日間から半日に短縮されたという事例があります。

システム・帳簿のデータ突合業務

複数のシステムや帳簿間のデータ照合作業も、RPAの得意分野です。

1. 売上データと入金データの照合:販売管理システムと銀行口座の入金データを自動で突合し、未収金を特定します。

2. 仕入データと請求書の照合:発注システムのデータと受領した請求書の内容を自動で照合し、差異がある場合はアラートを出します。

3. 在庫データの照合:実地棚卸の結果と在庫管理システムのデータを自動で突合し、差異を報告します。

ある小売業では、RPAによるデータ突合の自動化により、月間40時間かかっていた作業が2時間に短縮されたという報告があります。

ExcelやOutlookなどの同時処理業務

RPAは複数のアプリケーションを同時に操作することができ、以下のような業務に効果を発揮します。

1. 請求書作成と送信:Excelで請求書を作成し、PDFに変換後、Outlookで顧客に自動送信します。

2. 経費精算処理:経費精算システムからデータを抽出し、Excelで集計後、承認者にOutlookでメール通知します。

3. 取引先マスタの一括更新:Excelの取引先リストを基に、会計システムの取引先マスタを一括で更新します。

ある製造業では、RPAによる請求書作成・送信の自動化により、月間の作業時間が50時間から5時間に削減されたという事例があります。

会計データの集計・加工業務

大量のデータを扱う集計・加工業務もRPAの得意分野です。

1. 部門別・プロジェクト別の収支集計:各システムからデータを抽出し、条件に応じて自動で集計・分析します。

2. 連結決算のための子会社データ集約:各子会社のデータを自動で収集し、指定のフォーマットに変換します。

3. 予実管理資料の作成:予算データと実績データを自動で突合し、差異分析レポートを作成します。

ある大手企業グループでは、RPAによる連結決算データの集約により、作業時間が従来の1週間から1日に短縮されたという報告があります。

RPAの導入により、これらの業務を24時間365日ノンストップで実行することが可能となり、大幅な業務効率化とコスト削減を実現できます。ただし、RPAの導入に際しては、対象業務の選定や業務プロセスの標準化、例外処理の設計など、事前の綿密な計画と準備が必要です。

システム導入により自動化できる業務例

経理業務の自動化を進める上で、専門的なシステムやサービスの導入は非常に効果的です。ここでは、具体的なシステム例とそれによって自動化できる業務を見ていきましょう。

請求書受領サービス

請求書受領サービスは、紙の請求書をデジタル化し、自動で会計システムに取り込むサービスです。

1. 請求書のデジタル化:紙の請求書をスキャンし、AI OCRで自動的にデータ化します。

2. データの自動取り込み:抽出したデータを会計システムに自動で取り込みます。

3. 承認ワークフローの自動化:金額に応じて、適切な承認者に自動でルーティングします。

例えば、ある中堅企業では請求書受領サービスの導入により、月間200時間かかっていた請求書処理が50時間に短縮されたという事例があります。

導入の際は以下の点に注意が必要です:

– OCRの精度向上のための学習期間の確保

– 例外的な請求書のハンドリング方法の検討

– 既存の会計システムとの連携の確認

代金回収代行サービス

代金回収代行サービスは、売掛金の回収業務を自動化します。

1. 入金管理の自動化:入金情報を自動で取得し、売掛金と照合します。

2. 請求書の自動発行:未入金の顧客に対し、自動で請求書を発行・送付します。

3. 督促業務の自動化:入金期日を過ぎた顧客に対し、自動でリマインドメールを送信します。

ある小売業では、代金回収代行サービスの導入により、売掛金回収期間が平均45日から30日に短縮され、キャッシュフローが大幅に改善したという報告があります。

導入時の注意点:

– 顧客とのコミュニケーション方法の再検討

– 特殊な取引条件がある顧客への対応

– 個人情報保護法などの法令遵守の確認

電子帳簿保存システム

電子帳簿保存システムは、帳簿や証憑を電子的に保存し、管理する業務を自動化します。

1. 証憑の電子化:請求書や領収書をスキャンし、自動でタイムスタンプを付与します。

2. データの自動整理:取引日や金額などの情報を自動で抽出し、検索可能な形で保存します。

3. 保存期間管理の自動化:法定保存期間を過ぎたデータを自動で削除します。

ある製造業では、電子帳簿保存システムの導入により、書類保管スペースが80%削減され、さらに監査対応時間が従来の半分になったという事例があります。

導入時の注意点:

– 電子帳簿保存法の要件への適合確認

– スキャナ保存に関する運用規程の整備

– バックアップ体制の構築

<H3>請求書発行業務の自動化(例:「楽楽明細」)

請求書発行業務を自動化するシステムとして、「楽楽明細」のようなサービスがあります。

1. 請求データの自動取り込み:販売管理システムから請求データを自動で取り込みます。

2. 請求書の自動生成:取り込んだデータを基に、請求書を自動で作成します。

3. 請求書の自動送信:作成した請求書をメールやFAXで自動送信します。

あるサービス業では、「楽楽明細」の導入により、月次の請求書発行作業が3日かかっていたものが半日で完了するようになったという報告があります。

導入時の注意点:

– 既存システムとの連携可否の確認

– 請求書のフォーマットカスタマイズの必要性

– 顧客ごとの請求条件の設定方法の確認

これらのシステムやサービスを適切に選択・導入することで、経理業務の大幅な効率化と正確性の向上が期待できます。ただし、導入に際しては自社の業務フローや既存システムとの親和性を十分に検討し、段階的に導入を進めていくことが重要です。

経理業務の自動化で押さえるべきポイント

経理業務の自動化を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、特に押さえておくべき2つのポイントについて詳しく解説します。

業務を可視化してフローを見直す

経理業務の自動化を進める前に、まず現状の業務フローを可視化し、見直すことが重要です。

1. 業務の棚卸し

   – 現在行っている全ての経理業務をリストアップします。

   – 各業務にかかる時間や頻度、関与する人員を洗い出します。

2. 業務フローの作成

   – 各業務の流れを図式化し、可視化します。

   – 部門間の連携や、システム間のデータの流れも含めて整理します。

3. 無駄な作業の特定

   – 重複している作業や、不必要な承認プロセスがないか確認します。

   – 手作業で行っている転記作業などを洗い出します。

4. 業務の標準化

   – 属人化している業務を標準化します。

   – 例外的な処理をできるだけ減らし、ルール化します。

5. 改善点の洗い出し

   – 自動化できる可能性がある業務を特定します。

   – システム連携で効率化できるポイントを見つけます。

例えば、ある企業では業務フローの可視化により、月次決算プロセスに含まれる不要な承認ステップを発見し、これを省略することで決算期間を2日間短縮できたという事例があります。

業務フローの見直しを行う際の注意点:

– 現場の声をしっかりと聞く

– 「今までこうやってきたから」という固定観念にとらわれない

– 短期的な効率だけでなく、長期的な成長も考慮する

自社に適した方法を検討する

経理業務の自動化には様々な方法がありますが、自社の状況に最も適した方法を選択することが重要です。

1. 自社の現状分析

   – 企業規模や業種、取引量などを考慮します。

   – 現在の IT 環境や、社内の IT リテラシーレベルを評価します。

2. 自動化の目的の明確化

   – コスト削減、業務効率化、経営判断の迅速化など、主な目的を定めます。

   – 短期的な目標と長期的な目標を設定します。

3. 予算の検討

   – 初期投資にかけられる金額を明確にします。

   – 運用コストも含めた総所有コスト(TCO)を試算します。

4. 段階的な導入計画の立案

   – 全ての業務を一度に自動化するのではなく、優先順位をつけて段階的に導入します。

   – 小規模なテストプロジェクトから始め、徐々に範囲を広げていきます。

5. 導入後の評価指標の設定

   – 作業時間の削減率、エラー率の低下、コスト削減額など、具体的な評価指標を決めます。

   – 定期的に効果を測定し、必要に応じて改善を行います。

例えば、ある中小企業では、まず Excel のマクロ機能を活用した小規模な自動化から始め、その効果を確認した上で RPA の導入に移行したことで、スムーズな自動化の実現に成功したという事例があります。この企業は段階的なアプローチにより、社員の抵抗感を最小限に抑えつつ、着実に自動化を進めることができました。

自社に適した方法を検討する際の注意点

– ベンダーの提案をそのまま受け入れるのではなく、自社の状況に照らし合わせて慎重に検討する

– 導入後のサポート体制や、将来的な拡張性も考慮に入れる

– 社内の人材育成計画と連動させ、自動化によって空いた時間の有効活用方法も検討する

これらのポイントを押さえることで、より効果的かつ持続可能な経理業務の自動化を実現することができます。自動化は一朝一夕には完成しません。継続的な改善と見直しを行いながら、段階的に進めていくことが成功の鍵となります。

まとめ

経理業務の自動化は、単なる業務効率化にとどまらず、企業全体の変革につながる可能性を秘めています。人的リソースを戦略的な業務にシフトさせることで、企業の競争力向上や新たな価値創造につながります。

ただし、自動化の導入には慎重なアプローチが必要です。現状の業務を十分に分析し、段階的に導入を進めることが重要です。また、自動化によって生まれた時間を、どのように有効活用するかという点も併せて検討する必要があります。

さらに、テクノロジーの進化は日々加速しています。特に生成AIの発展は、今後の経理業務に大きな変革をもたらす可能性があります。常に最新の動向をキャッチアップし、自社にとって最適な自動化の形を模索し続けることが大切です。

経理業務の自動化は、一朝一夕には完成しません。しかし、適切な計画と段階的な実行により、大きな成果を上げることができます。本記事が、皆様の経理業務自動化への第一歩となれば幸いです。